【製造業・物流・食品加工業向け】搬送コンベアの会社選びガイド│コンベアズ » チップ・スクラップ搬送コンベア

チップ・スクラップ
搬送コンベア

金属を加工すると必ず出る「チップ(金属片)」やスクラップなど、人体に有害な物質を搬送するチップ・スクラップコンベアメーカーの特徴や製品事例などをまとめました。

チップ・スクラップ
コンベアの特徴とは

金属を旋盤で削った時に出る金属チップやプレスで型抜きをした時に出る金属スクラップなど、それらをピットに集めて処理するために必要になるのがチップ・スクラップ搬送コンベアです。金属を扱う現場では必須の設備といっていいでしょう。

さまざまな大きさや形の金属片が入り混じり、破片が機械に噛み込んでコンベアが停止しやすく人体に有害な切削油が含まれている場合もあるチップやスクラップ。それらを運ぶのに特化し、噛み込まずに搬送ができるコンベアが開発されています。

チップコンベア(スクラップコンベア)の選び方

チップコンベア(スクラップコンベア)は一度導入すると変更が難しく、さらに部品の交換やメンテナンスといったランニングコストも発生します。そのため、現場に合ったチップコンベアを選ぶには、チップコンベアの種類による構造や特性の違いについて押さえることが大切です。そのうえで搬送物の形状や性質、現場の環境などに適しているチップコンベアを選ぶようにしましょう。

また、性能だけでなく、導入コストやランニングコストもチップコンベア選びの重要なポイントです。最適なチップコンベアを選ぶことができれば、業務の効率化やコスト削減など自社の課題解決につながります。

チップ・スクラップ
搬送に対応している
コンベアメーカーを
紹介

2021年10月時点で公式サイトにチップ・スクラップ搬送コンベアの事例がある3社をピックアップ。

「既製品でカバーできないコンベアが欲しい」「生産ライン一式を作りたい」など、コンベアを導入する目的別に、各社の特徴と製品事例を紹介しています。

♦既製品でカバーできないコンベアが欲しいなら…

サンエイ株式会社

1966年にミニコンベアを開発して以来、半世紀以上コンベアを作り続けてきたサンエイ。ヒアリング・設計・製造・設置まで自社で一貫して行っているので、製造現場の事情に合わせてコンベアをカスタマイズできることが強みです。自動車産業を中心に金属加工を行う製造現場や、リサイクル施設で積んできた実績を生かして、日本の生産現場を支え続けている企業です。

サンエイ株式会社のチップコンベアの特長

サンエイが提供するチップコンベアは、作業の効率化を何よりも重視しています。金属加工を行う際に欠かせないスクラップの処理がスムーズになるよう、幅広いレイアウトに対応したスクラップ搬送用コンベアを提供。

取り扱っている製品は3種類で、どれもシンプルな構造となっているため噛み込みや持ち帰り、こぼれの無い確実な排出が可能です。スクレーパーブレードの動き方は、水平方向と垂直方向の2種類から選べます。

【コンベア事例】

1.スクレーパー SCMH 
水平循環式・ミニタイプ
/金属加工業界向け

スクレーパー SCMH 水平循環式・ミニタイプ
引用元HP:サンエイ株式会社
https://sanei-cv.co.jp/products/scmh/

狭い工場や施設などに対応した薄型ミニタイプのスクレーパーコンベア。機械の高さが低くコンパクトな仕様なので、小型プレスの下のような狭い場所に適しています。排出されるスクラップの分量に応じてコンベアの幅をカスタマイズできるところも魅力です。

2.LスラットSTE80 リサイクル品搬送スラットコンベア
/リサイクル業界向け

LスラットSTE80 リサイクル品搬送スラットコンベア
引用元HP:サンエイ株式会社
https://sanei-cv.co.jp/products/ste80/

産業廃棄物処理施設では、さまざまな材質のスクラップが混在しています。サンエイの「Lスラット」はスラット板でスクラップを運ぶスラットコンベア。搬送物が噛み込んでコンベアが停止しないよう、スラット板にほとんど隙間がない仕様になっています

サンエイ株式会社 
公式サイトで
食品搬送コンベアの
性能を詳しく見る

♦生産ライン一式を作りたいなら…

大峰工業株式会社

大峰工業は金属加工時に出るチップを効率的に集めて運ぶのに特化した「片持ちスクレーパーコンベア」を開発しました。プレススクラップやチップの搬送が得意分野で、コンベアは人体に有害な成分を含んだ切削油を危険なく搬送できるように工夫されています。自動車・機械業界の納入実績が多い企業です。

大峰工業株式会社のチップコンベアの特長

大峰工業株式会社では、上下左右の屈曲が自由自在な「大峰チップコンベヤ・フロア型(プレススクラップ用)」を提供。現場のレイアウト変更による移設・配置換えにもフレキシブルな対応ができるので、変形したラインにも簡単に設置できるでしょう。

また、こちらの製品は床上へダイレクトに設置できるタイプで、種類は削屑用とプレス抜屑用の2つ。人や車がコンベアの上を越えやすいよう高さ設定を低く設定しています。低く設計されているため、マシンの踏台の下を通すことも可能です。

【コンベア事例】

1.大峰チップコンベヤ・タテ型(プレススクラップ用)
/自動車・機械業界向け

大峰チップコンベヤ・タテ型(プレススクラップ用)
引用元HP:大峰工業株式会社
http://www.ohmine.co.jp/product/gear1.html

切り屑・プレス抜き屑・ダイカスト湯口など、金属加工で出るチップやプレススクラップを運ぶ専用コンベアです。搬送物が逆流しないように工夫された「片持ちスクレーパー方式」を採用。チェーン駆動で迅速にチップを搬送します。

2.大峰チップコンベヤ・フロア型(プレススクラップ用)
/機械業界向け

大峰チップコンベヤ・フロア型(プレススクラップ用)
引用元HP:大峰工業株式会社
http://www.ohmine.co.jp/product/gear3.html

屈曲したラインに対応したフロア型のスクレイパー式コンベアです。工作機械の踏み台の下にも置けるコンパクトな作りで機械の高さが低いため、踏み板を設置してその上を人や車が通過できるレイアウトも可能です

大峰工業株式会社 
公式サイトで
食品搬送コンベアの
性能を詳しく見る

アローテクノ株式会社

アローテクノは、重工業の工場へのコンベア納入実績を重ねてきた企業です。メンテナンスフリーの「アローライナーコンベアー」や、密閉型のパイプを活用し、チップや臭いが漏れないクリーンな「スーパーパイプコンベアー」、運ぶ物を選ばない「チップコンベアー」などを製造しています。

アローテクノ株式会社のチップコンベアの特長

チップ・スクラップ搬送に対応しているコンベアとして、「スーパーパイプコンベアー」「アローライナーコンベアー」「チップコンベアー」「スクラップコンベアー」の4種類を展開。それぞれに特徴があり搬送できるものも異なるので、依頼者のニーズに合わせて相性の良いものを提案しています。

また、アローテクノ株式会社は切削屑の運搬から処理装置、集中クーラント装置までトータルコーディネートに対応しているため、製造現場の抱える課題を一気に解決できるでしょう。

【コンベア事例】

1.切屑搬送機 スクラップ
コンベアー/機械・金属業界向け

切屑搬送機 スクラップコンベアー
引用元HP:アローテクノ株式会社
http://www.arrowtechno.co.jp/products/scrap.html

金属のプレス加工の時に出る、チップの巻き込みを防止できるスクラップ搬送用コンベア。ディンプル加工済みのヒンジパンを使用して、折り込み部分にチップが噛み込まないように工夫されています。切削油が混じっているチップを運ぶ場合には、油を底部のドレスパンで回収し、滞留を防止します。

2.切屑搬送機 アローライナー
コンベアー/金属加工業界向け

切屑搬送機 アローライナーコンベアー
引用元HP:アローテクノ株式会社
http://www.arrowtechno.co.jp/products/arrow.html

1969年に開発された「アローライナーコンベアー」は、アローテクノのロングセラー商品。加工ラインから出るさまざまな種類のチップを効率的に運ぶために独自開発された「巻き込み防止機構」を導入しています。運ぶものを問わず、特に投入する時に巻き込むことが多い「パーマネント切り粉」の搬送が得意です

アローテクノ株式会社 
公式サイトで
食品搬送コンベアの
性能を詳しく見る

チップ・スクラップコンベアを製造するそのほかの会社

白山機工

1953年の創業より約70年に渡り、工業機械用コンベヤならびに制御装置の設計・製造を行っている実績豊富な会社です。近年では精密板金加工品や無人受け取りBOXの設計・製造なども実施。「企業は人」という理念のもと、スタッフ全員がクレーン運転教育やアーク溶接技能、フォークリフト講習などに参加し、常に知識と技術のアップデートを図っています。

白山機工のチップコンベアの特長

白山機工のチップコンベアは標準品がなく、依頼者のニーズに合わせたカスタム仕様となっているのが特徴です。切屑の形状や設置するフロアの広さと形状、作業効率を意識した高さなどさまざまな観点から、依頼者のニーズに合ったコンベアを提案しています。ISO9001ならびにISO14001という2つの国際規格(※)も認証取得しており、環境に配慮した製品を手掛けているでしょう。

※参照元:株式会社白山機工公式サイト https://www.hakusankiko.co.jp/iso/

メタルチップ

山口工業グループに属する会社で、現場チェックから設計・製造、アフターサービスまでワンストップ体制で対応しています。チップコンベアに関する全ての工程をグループ企業で担当するため、高品質・低コスト・短納期が期待できるでしょう。もちろん、スタッフは全員が実践的な技術教育を受けているため、専門性の高い対応や提案が可能です。

メタルチップのチップコンベアの特長

独自開発の「スラット式チップコンベア」を筆頭に、「コイル式・スクリュー式チップコンベア」や「スクレーパ式チップコンベア」などさまざま特徴を持つ製品を展開しています。どれも現地調査によって搬送物や搬送量を確認したうえで、スムーズな作業ができるようオーダーメイド設計を実施。コンベアと組み合わせて使うクーラントも取り扱っています。

株式会社田中製作所

「お客様のトータルプランナーでありたい」という企業理念のもと、1952年から69年に渡ってチップコンベアやクーラントの製造を行っている株式会社田中製作所。工作機械や生産設備の作業効率を高められるよう、単なる搬送コンベアメーカーとしてだけでなはなく、頼れるパートナーとしてモノづくりに励んでいます。

株式会社田中製作所のチップコンベアの特長

依頼者が希望する仕様やコストに柔軟な対応ができるよう、13種類のコンベア製品を用意。そのうちチップコンベアは4種類で、クーラント使用加工とドライ加工の2種類から好きなタイプを選択できるのがポイント。中でも、ヒンジベルトコンベアは汎用性の高い製品であり、砂状の切粉を除くさまざまな大きさや材質に対応しています。

サンエス工業株式会社

福岡に本社を構えるサンエス工業株式会社では、工作機械メーカーや自動車メーカーなどを対象にチップコンベアやクーラント液の濾過装置の設計・製造・販売を行っています。特に品質管理に力を入れており、作業手順書の整備によって誰もが同じ品質で製品の製造ができるよう徹底。定期的な品質チェックも行っているため、高品質な製品が手に入るでしょう。

サンエス工業株式会社のチップコンベアの特長

マグネット式・高磁力型マグネット式・ヒンジ式・スクレーパ式・マグネットスクレーパ式といった5種類の製品を取り揃えています。その中でも「マグネット式チップコンベア」はサンエス工業株式会社が1番最初に開発したコンベア製品で、独自の回遊方式は特許取得を取得しており、切屑回収効率が非常に高いのが魅力です。

チップコンベア(スクラップコンベア)を導入するメリット

人件費の削減と作業効率化を実現

チップコンベア(スクラップコンベア)を導入していない場合、金属加工で排出される金属チップやスクラップを手作業で回収しなければいけません。スコップやフォークを使って回収するための人員の確保が必要となり、その分の手間やコストが発生してしまいます。

金属チップやスクラップの処理に特化したチップコンベアを導入することで、作業の効率化アップによる省人化を叶えることが可能。これまで金属チップやスクラップの回収にあたっていた人員をほかの重要な作業にまわすこともでき、会社の収益アップにつなげられるメリットもあります。

現場の安全対策の強化を図れる

鋭利な金属の切りくずを手作業で回収する場合、手袋をしていたとしても作業員の皮ふを傷つけかねません。また、切りくずに含まれる切削油剤が床に飛び散ることで、転倒の危険性があります。そのほかにも、人体に有害な物質を含む搬出物を取り扱っている現場であれば、作業員の健康被害を防ぐ対策が必要です。

チップコンベアなら手作業で回収する必要がなくなるほか、切りくずと切削油剤を分離させる機能により転倒を防ぐことが可能に。また、健康被害の可能性がある切りくずを作業員が触れる心配もなくなるため、現場の安全対策を強化できます。

切りくずによる機械トラブルの防止

金属加工の設備に切りくずがたまってしまうと加工精度が落ちてしまうため、定期的に排出する必要があります。チップコンベアを導入すれば切りくずが設備にたまらないようにしてくれるので、切りくずによる加工精度の低下や故障といった機械トラブルを防ぐことが可能です。

また、回収のたびに電源を落とす必要があった設備の場合、チップコンベアを導入することにより作業の効率化アップを叶えられるメリットもあります。

チップコンベア(スクラップコンベア)の種類

ヒンジ式コンベア

ヒンジ式コンベアはチップコンベアのなかで最も一般的なタイプで、戦車のキャタピラや回転寿司のレーンのようなベルトコンベアー方式になっているのが特徴。切りくずを鋼板の上に乗せて運ぶ構造になっており、幅広い種類の工作物や切りくずを搬送できるメリットがあります。ただし、粉状の切りくずは鋼板の隙間に入り込んだり張り付きやすくなったりするため、粉状の切りくずの回収には向いていません。

スクリュー式

スクリュー式は、らせん状の羽を回転させることによる巻き上げ作用で切りくずを運搬するタイプのコンベアです。密閉式になっているため、搬送物の中身や臭いが漏れる心配がない安全性も利点。また、水や空気で冷却したり加熱したりしながら搬送することも可能です。長い切りくずや硬い材質の切りくずだと羽に絡んだり傷つけたりして故障の原因になるため、細かい切りくずの回収に適しています。

コイル式

コイル式は、スクリュー式と同じく巻き上げ作用を使って切りくずを回収するコンベアです。スクリュー式がらせん状の羽を回転させるのに対し、コイル式はコイルの回転による巻き上げ作用で切りくずを回収する構造になっています。コイルに巻きつく可能性のある長い切りくずの回収には向いていませんが、切削油剤の分離についてはヒンジ式やスクレーパ式より優れているのが特徴です。

スクレーパ式

スクレーパ式は、スクレーパと呼ばれる板状のかき板をレーンに取り付けて切りくずを運ぶコンベアです。ヒンジ式コンベアでは難しい細かい粉状の切りくずの運搬を得意としているほか、部品の少ないシンプルな構造をしているのでコストを抑えられるのが特徴。また、シンプルな構造によりメンテナンスがしやすく、故障しにくいのもスクレーパ式ならではのメリットです。スクレーパ式は耐熱性や耐腐食性が高いことから、産業廃棄物処理場や焼却場でも導入されています。

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課題を克服する搬送コンベアメーカーの選び方

コンベアによる搬送設備を整えることで、業務が飛躍的に効率化できたり、コスト削減に繋がったりと、自社の大きな武器になることが考えられます。そのためには、各社の特徴を把握し、課題解決につながるコンベアメーカーを選ぶことが大切です。
以下では、公式サイトに事例がある会社に注目し、各用途別におすすめのコンベアメーカーを紹介しています。(2021年10月調査時点)